社長・管理職の話し方教室(東京)|部下を育成する!褒める、叱る、その前に大切なこととは?

ほめる、叱る、その前にリーダーがやるべきこと

人を「褒めて育てる」とは、よく言われることです。“ほめてやる気にさせるのが、最も効果的”というものです。でも実際のところは、そんなに単純なことではありません。

人はむやみに褒められてばかりいては、その状態に慣れ、自分の課題に気付けなくなってしまいます。かといって、叱れば今度はパワハラだといわれ、あげくの果てには会社に来なくなってしまった・・。

「ほめる」も「叱る」も、どちらも大切なことには違いありません。しかし、その前に、大切なもう一つのことがあります。それを今回は述べることにしましょう。

その「大切なもう一つのこと」とは、「認める」という行為です。

信頼関係を築く第一歩は、相手を「認める」行為

「ほめる」も「叱る」も、相手との信頼関係があってこそのもの。そしてその信頼関係を作り上げるために必要なことが「認める」ということなのです。

世の中には年下、年上、入社したばかりの新人。自信家もいれば、あがり症の人だっています。まずは、相手を優れた人間だと認め、信じること。そこから信頼関係は始まります。

人は、自分のことを認めてくれている人から褒められればうれしいものです。また叱られても「気にしてもらえているんだ」と、その内容を肯定的に受け止めようとします。

しかし、世の中には相手のことを認められない人が大勢います。そんな人は、自分と違う考え方や価値観を受け入れることが苦手です。自分の考えを通そうと相手を説き伏せにかかったりします。これではコミュニケーションがうまくとれず、信頼関係も築けません。結局のところ、自分のことを相手に受け入れてもらえず、協力もしてもらえないのです。

では、どうしたら相手を、部下を、認められるようになるのでしょうか。以下にその着眼点を記します。

まずは、細かく目配りをすることです。そこから始めましょう。日頃からきちんと部下を見て、仕事が一段落したタイミングで、ねぎらいや感謝の言葉を口頭で伝えることです。

また、部下が話しかけてきた時には、しっかりと目を見て、耳を傾け“傾聴”することです。この積み重ねができてこそ、初めて「ほめる」、「叱る」の土台ができたことになります。

リーダーの褒める、叱るコミュニケーションのポイント

さて、土台ができたら、褒める、叱るを実行しましょう。

肝心な点は「ほめる」といっても、ご機嫌とりやお世辞ではない、ということです。また過剰な励ましとも違います。部下の良い点や努力の過程、成果などを基に「客観的に褒める」のがコツです。細かく、何度でも、です。

できればその場で、シンプルに。でも内容は具体的に。日頃の目配りが、ここで生きてきます。いいところを見つけて、逃さず細かくフィードバックすることが大事になるわけです。

そして「叱る」も同様です。

誰にとっても、叱られるのは嫌なものです。でももっと辛いのは、やったことに対して、なんのリアクションも返ってこないことでしょう。無視や放置をされることです。

叱る際は、まずはやったことに対して肯定する言葉をかけ、そのあと叱ります。そして、どうすればいいのかを教えます。改善策を部下にも考えさせるということも重要です。そして叱り方は、論理的に。冷静に。感情的になって「どうして○○できないんだ!」という話し方は禁物です。“怒る”必要はないのですから。

「ほめる」も「叱る」も、「認める」の延長線上にあります。まずは認めて信頼関係を築く。そのうえで、部下に前に進むエネルギーを持たせるために、褒める、叱る。そしてそれは「部下を育てる」ということにほかなりません。

(2018/11/30ブログ更新,2016/04/29初出)

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