社長・経営者の話し方教室-社長が経営ビジョンを魅力的に語る秘訣!
〜社員の心を動かす「話す力」〜
経営ビジョンとは、企業の未来を描く羅針盤であり、社長の言葉でどのように語られるかが、組織の一体感と推進力を大きく左右します。どれだけ素晴らしい経営戦略を立てても、それが社員に伝わらなければ、実行にはつながりません。
そこで重要になるのが、社長自身が「魅力的に語る力」、つまり社長の話力・話し方です。
今回は、「経営ビジョンを語る」その極意をご紹介します。
1. 伝わる構成・ストーリーづくり
経営ビジョンは、夢物語で終わらせてはなりません。聞き手が「なるほど」と納得できるよう、構成を整えることが大切です。
「現状→課題→未来」の構成で話す
一般的によく取り上げられる構成法に、「現状・課題・未来」の構成があります。
たとえば「現在の業績」「直面する市場の変化」「そこから導き出されるビジョン」と段階的に話すことで、聞き手がスムーズに理解できるようになります。
数字を交えて語る
単なる理想論ではなく、根拠を伴ったビジョンこそが説得力を持ちます。
そこで、「成長率○%」「市場シェア○位」というように、データを交えて話すことが大切です。そうすれば、聞き手は「このビジョンには実現可能性がある」と感じます。具体化は、伝達力を高める基本なのです。
2. 感情に訴えて心を動かす
論理だけでは、人は動きません。心を動かすのは、社長の「想い」と「熱意」です。
自らの体験を語る
なぜこのビジョンを掲げるのか。その背景にある個人的な経験・想いを語ることで、社員との心理的距離が一気に縮まります。
たとえば「先の震災をきっかけに、地域との共生を目指すようになった」など、原体験を共有することで共感が生まれます。「感情を伴ったストーリー」は、より記憶に刻まれます。
聞き手の「未来」を描く
社員が「そのビジョンに共に進みたい」と感じるには、彼ら自身の未来がどう変わるのかを語ることが重要です。
「このビジョンの実現で、あなたの仕事の価値が高まる」「チームの働き方がより自由になる」など、聞き手視点の変化を明確に伝えることで、話に引き込まれていきます。
3. 抽象を具体に「言語化」する
ビジョンは抽象的な言葉で語られることが多いため、現場レベルで「実感」できるよう言語化する技術が求められます。
抽象語を分かりやすく言い換える
「持続可能性」「社会価値」「人的資本」などの抽象語は、具体的な行動や風景に置き換えて説明することが効果的です。
たとえば「持続可能性」を「次の世代にも誇れる製品開発」と言い換えることで、社員の頭の中に明確なイメージが浮かぶでしょう。これを「共通言語化」と呼ぶこともあります。
ビジョンを行動に落とし込む
「うちの会社は“挑戦”がテーマです」と語っても、聞き手には響かないでしょう。
たとえば、「毎月1回、新しい業務提案を出す日を設ける」など、日々の行動に紐づけて語ることが大切です。そうすることで、ビジョンが“行動指針”として機能するようになります。
社長スピーチ研修所/酒井美智雄の一言
社員にビジョンが「伝わる」だけでなく、「心に残り」「行動につながる」ためには、戦略が必要です。社長の語るビジョンが、人を巻き込み、組織を動かす力になるかどうかは、単なる内容よりも“どう語るか”にかかっていると言えます。
社長・経営者自身が「話力や話し方」を見直し、言葉の力で未来を切り開くことが、今ほど求められている時代はないでしょう。
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■ 社長・経営者の話し方教室ブログ提供/スピーチの名門・社長スピーチ研修所/社長スピーチ研修所・日本コミュニケーション学院 総責任者 酒井美智雄