社長・管理職の話し方教室(東京)|『うちには、ろくな社員がいない!』という社長さんへ

「うちには、ろくな社員がいない」と言う社長たち

私は企業経営者とお会いして話をする機会が多いのですが、中小企業の社長からは「うちには、ろくな社員がいない」という嘆きを聞くことがあります。

そんな時私は、「御社では、社員をキチンと教育していますか?」と尋ねます。でも、多くの場合は、「いいえ」という答えが返ってくるのです。たまに、「社員教育なら年に何回か、外部講師を呼んで、しっかりやっています」という社長もいるにはいます。でも、講師をよんで実施する集合研修が社員教育のすべてではありません。ほんの一部にすぎないのです。

「外部講師を呼んで教育してます」という社長には、さらに突っ込んで「社長は、直接社員を教育しないのですか?」と聞きます。そうすると、「いやあ、忙しくて」とか、「口下手で、長時間の講義は苦手で」とか、言い訳が返ってくるのです。

会社が、ろくな「社員教育」をしていない実態

実は、「ろくな社員がいない」という言葉の裏には、「会社が、ろくな社員教育をしていない」真実が隠されているのです。端的に言うと、社長が社員を育てられないということになります。

「集合研修の場で講義をすることが社員教育」とカン違いしている社長方は少なくありません。それも大切ではありますが、それ以上に社員への日常の助言や、かかわり方の方が、よほど大事な社員教育になることに気づかなければならないでしょう。

「講義」をすることだけが、社員教育ではない

口下手で講師として話すことが嫌いな社長なら、一旦、話すことを脇に置けばいいのです。

話さずに聴けばいいわけです。社員の声に耳を傾けて、社員の話を丁寧に聴くことに徹してみましょう。思うに、体系だった長話(スピーチやプレゼン)をするよりも、聴くことの方が技術的には簡単です。でも聴くには根気がいります。社長の多くは短気だから、聴くためには、覚悟と訓練が絶対に必要になります。

普通社長は、部下の話はろくに聴きません。ですから、社長が部下の話をキチンと聴くようになると、会社の雰囲気は大変よくなります。そうすると、仕事に前向きに取り組む社員も増えてくるのです。

そもそも、会社のビジョンや目標を達成するために社員教育があるわけですから、社員の話を「聴く」ことで、ビジョンや目標達成に近づくのであれば、それも立派な社員教育と言わなければなりません。一方的にスピーチをすることばかりが社員教育ではない!このことを社長・経営者の皆さんには忘れて欲しくありません。

(2018/10/22ブログ更新,2013/04/11初出)

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